昔から「保育園児は、やっぱり小学校受験には不利なんですよね?」とたずねられます。けれど、今では、私の教室に通う半数以上がワーキングマザーの家庭です。
もし「保育園児は、やっぱり小学校受験には不利」と、まことしやかにウワサとして流れているとすれば、たぶんそれは、お仕事を持ったお母様が、志望した学校にご縁をいただけなかった時、その残念な結果を受け入れるために「うちの子は保育園児だったから、不合格だったんだ」という書込みでもしたから、でしょう。もしくは、専業ママが、自分達を正当化するため、24時間体制で育児をする立場を誇示したかったから、でしょうか。
確かに、極々一部の学校には、現代でもそういう傾向があるのは事実です。しかし、それは、その学校の確固とした教育理念に基づく考え方であって、それを「21世紀にはそぐわない」とか「女性蔑視」などと、文句を言うのはお門違いです。もし、そういう学校に「私は働いていません」と偽り、首尾よく合格したとしても、入学後、ことごとく平日に催される保護者向けの行事に参加できず、自分で自分の首を絞め、ひいてはそれが我が子に辛い思いをさせるのであれば・・・最初から、ワーキングマザー大歓迎!という考えを持った学校を志望すべき・・・そう思いませんか?
さて、話しを元に戻します。
「保育園児は、やっぱり小学校受験には不利ですか?」という質問には、私は「NO!」答えます。その理由あげてみましょう。
1.保育園児は、親離れが上手である。
入会されて、初回に教室に入ってくる時、母親から離れられず、ぐずぐずと文句を言ったり、泣いたり・・・というお子さんは、保育園児にはほとんどいません。たとえ3歳児であっても、お母様から適切な言葉をかけられると、「バイバイ!」「いってきます!」と、上手に母親から離れます。これは、小さな頃からの習慣で、「お母さんと別れる」というケジメのようなものが、子どもの中で育っているからでしょう。
2.すぐに「できない!」と言って投げ出さず、自分のことは自分でする姿勢がある。
保育園児は、一日の大部分の時間、幼い頃から同年代の子ども達と共同生活をしています。その生活の中で子ども達は、大人や親に依存せず、ほとんどのことを「自分でする」という生活に慣れているのですね。
保育園児の場合には、「できないー!」と言って泣いたり、逃げ出したりしたところで、「そうなの、そうなの、かわいそうに!」とすぐに近寄ってきて、代わりにしてくれる人は側にはいないのです。この物理的条件が、保育園児のチャレンジ精神と根気を育てていると思います。
ボタンかけ(はずし)、洋服たたみ、お着替えなども、完璧とは言えないまでも、保育園では3歳児でも一生懸命に「自分で」やっている姿が当然のこととしてみられます。お手洗いにも早い時期から上手に一人で行ける、という子は多いです。
3.父親の育児参加が自然なかたちでできている。
専業ママの家庭では、どうしても子育てはママの担当で、「パパは会社、パパはお仕事」という構図が出来上がり、父親はほとんど日頃の我が子の様子を知らない、という場合がほとんどです。
しかし、好むと好まざるとに関わらず、ワーキングマザーの家庭では、当たり前のこととして、父親の家事参加、子育て参加が見られます。
これはなかなか語られないことですが、小学校受験というのは子どもの受験というよりも「家庭の受験」です。そういう意味においても、両親でバランスよく育児をしている姿勢は、理想的な家庭と言えるでしょう。
ですから、間違っても「小学校受験をさせるのならば、幼稚園でなければ!」などという間違った思いに取り付かれて、ご家族(子どもに対しても)の負担が大きくなる幼稚園への転園などを無理に考えてはいけません。