成功体験談に振り回されないこと

小学校受験が「お受験」と呼ばれるようになり、その言葉がすっかり定着するようになった今、育児関連の雑誌、ファミリー誌の教育の企画などには「働くママ達の小学校受験」云々という特集が珍しくなくなりました。もちろん、インターネットサイトには、小学校受験関連の掲示板なども多く、そこにはたくさんのワーキングマザー達の成功体験談のようなものが載っています。

「私は○ヶ月で、名門△△小学校に入学させた!」
「準備は○○だけで十分。私の成功体験!」
「○○の準備で完璧。仕事をしていても問題なし!」
こんなキャッチコピーにはそそられますね・・・

社会人として一日の大半を過ごしているママ達は、その対象が何であれ、キャッチコピーというものは人寄せパンダであり、とにかく目を留めてもらうための秘策である、ということを十分に理解されています。そう・・・それはわかっていても、さすがにこれから「未知の世界」に飛び込んでいこうとしている時には、こんなフレーズにはヒットしてしまうことでしょう。

けれど、小学校受験に関わらず、受験の世界では、「成功談」は大々的に語られても、その何倍もあるはずの「残念な例」はほとんど表に出ることはありません。

キャッチコピーとなった人達の体験談は、決してウソではないはずです。
けれど、中学受験以降のように、「問題が解け、正解をしたから○」「問題が解けず、誤答だったり、何も回答しなかったから×」というだけが合否の基準ではない、というのが小学校受験の世界です。
知育的なドリル、ペーパーの正答率がすべてではありません!小学校受験の合否は、子どもの知育的な能力は合否判断基準の一部であり、実際には、もっともっと大切な学校と家庭とのフィット感、というものが問題となります。だからこそ、記入欄の多い願書や、両親の面接などが実施されるのです。
子どものペーパーの点数がそれほど重要なら、どうして両親面接など必要になるのでしょう?

体験談を鵜呑みにして、信じがたい大金を支払うような準備に走ったり・・・どう考えても振りまわされているとしか思えないような準備をする・・・もちろん、どうしてもそうしないと気がすまないのであれば、そうすべきでしょう。けれど、少しでも「むー・・・本当にそうなのかな?」と思ってしまうようなものなら、自分にストップをかけるべきです。

合格は果たしたものの、あの期間の受験準備のことは、二度と思い出したくない!そうおっしゃるご両親は決して少なくないのが、この「お受験」と呼ばれる不思議な世界です。一番子どもがかわいい幼児期を、大金を使い、その上、無味乾燥な時間を親子で過ごしたとしたら・・・あまりに悲しいではありませんか。

未知の世界だからといって体験談を信奉したりせず、お仕事モードの時のように、しっかりと考え、取捨選択をしてください。